【ニューヨーク=黒沢潤】来年の国連事務総長選挙に向け、候補者が次々と名乗りを上げている。名前が取り沙汰される人物を含めると候補者は10人前後と、乱戦の様相を呈している。事務総長選出の事実上の決定権は国連安全保障理事会の5常任理事国にあるが、国連創設70周年を迎え、選出手続きを見直すべきだとの声が加盟国の間で高まっている。
出馬表明したのは前スロベニア大統領のダニロ・トゥルク氏、ブルガリア人で国連教育科学文化機関(ユネスコ)のイリナ・ボコバ事務局長、クロアチア外相のベスナ・プシッチ氏。3人とも東欧出身者だ。
これまで、「アジア太平洋」から現事務総長の潘(パン)基文(ギムン)氏ら2人、「西欧その他」から3人、「アフリカ」から2人、「中南米」から1人選出されたが、東欧からの選出者がいないことから「東欧加盟国の意気込みは尋常でない」(安保理筋)という。
ただ、1970年代以降の慣例からすれば、次は西欧の番。このため、「東欧出身者が10年間務めた後、西欧出身者が引き継いだら計20年だ。西欧はすでに3人もやっており不公平だ」との声も上がる。