主張

世界市場の混乱 事態収拾へG7は連携を

 中国経済の悪化に対する不安心理が急速に高まり、世界の金融市場に動揺が広がっている。

 株式相場の混乱は25日も収まらず、日経平均株価は乱高下を経て1万8000円を割り込んだ。安全資産とされる円の値動きも荒い。

 市場の動きに過度に反応する必要はないが、混乱が長引けば世界経済を不安定にする。株高・円安で経済再生を目指す日本も警戒すべき局面だ。

 菅義偉官房長官は「先進7カ国(G7)と連携し、必要なら対応策をとる」と述べた。世界経済の悪化を招かぬよう協調して政策運営に当たるのは当然である。

 その際には市場の混乱が実体経済に与える影響を見極めてもらいたい。株価が急落したとはいえ、足元の企業業績が改善傾向にあるのを冷静に勘案すべきだ。

 円相場も注視したい。これまでは円安が輸出企業の収益を膨らませたが、今後、円高傾向が強まるのか。円高には食料品などの輸入品価格を押し下げる面があることも忘れてはならない。

 財政・金融面の対応は、これらを踏まえた上で判断すべきだ。

 市場混乱でもう一つ見逃せないのが米国が模索する利上げ時期だ。利上げすれば、新興国などにあふれていた緩和マネーが米国に逆流する事態が予想される。

 それをにらんで市場が神経質になっているところに中国経済の変調が重なり、投資家によるリスク回避の動きが一気に強まった。

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