大阪特派員

手作り「地蔵盆」のススメ 山上直子 

 夏休みも終盤。週末から24日にかけて、大阪や京都は恒例の「地蔵盆」でにぎわった。関西の子供にとっては今夏最後の大イベントだが、どうもこの風習、関東ではなじみがないらしい。京都出身で早稲田大学に進んだ芥川賞作家、綿矢りささんも小説でこんなふうに書いている。

 「地蔵盆が全国規模の行事じゃないと初めて知ったのは、大学に入って上京し、いろんな地方から出てきた奴(やつ)らと話す機会ができてからだった」(「トイレの懺悔(ざんげ)室」)

 自身の経験が投影されているのは想像に難くないが、関西育ちなら、主人公のこのセリフにも共感するだろう。「八月の最後の週末に地蔵盆がなければ、ほかの地方の小学生たちは、夏休みがもうすぐ終わってしまう憂(う)さをいったいどうやって晴らすんだろう」と。

 そう、子供が主役の地蔵盆は、とりわけ心に残る夏休みの思い出なのだ。と同時に、行事を通じて一人一人の名前や学年を住民が把握し、大人と子供が顔見知りになるという点でも、よくできた地域のシステムといえる。少子化のいま、担い手豊富というわけにはいかないが、地元の努力で引き継がれている関西発の伝統行事を紹介したい。