主張

日本年金機構 この組織に任せられるか

 厚生労働省年金局が4月時点で似た手口での攻撃を受けていたにもかかわらず、機構に伝えていなかったことも新たに発覚した。監督官庁としてあるまじき態度であり、その責任は免れまい。

 それ以上にこの問題が深刻なのは、機構の組織体質が改まっていない点にある。機構の内部調査では、ガバナンスの脆弱(ぜいじゃく)さ、組織としての一体感の不足やリーダーシップの欠如といった社保庁時代からの構造的な課題が事件の背景になっていることを認めた。

 国民の年金に対する信頼は、社保庁職員の記録のぞき見、保険料の不正免除といったデタラメな仕事ぶりで失墜した。機構の最大の使命は信頼の回復にあった。組織風土の刷新はその一歩だったはずだが、これから先どのような展望があるのか。

 年金記録問題が発覚して10年以上が経過した。いまだに年金事務への信頼が揺らいでいるのは異常事態である。この間、2度の政権交代を経て与野党とも問題の重要性は認識しているはずだ。

 腐敗した社保庁からの移行組が大多数を占める機構が、国民の信頼を得ることは難しい。大胆な改革を考えるときである。