まともな北方領土交渉など、望めない状況にある証左ではないか。
ロシアのメドベージェフ首相が、日本側の強い制止を無視し、択捉島への訪問を強行した。
北方領土は日本固有の領土であり、ロシアが不法占拠している状態が続いている。
メドベージェフ氏はプーチン大統領の最側近の一人だ。その要人が、大統領時代を含めて3回、北方領土を訪れた。さらに実効支配を強めようとする目的は明らかだろう。
外務省はロシアの在京大使に抗議したが、極めて不十分だ。岸田文雄外相は、近く予定していた訪露中止を直ちに表明すべきだ。駐露大使を帰国させるなど、明確な形で抗議の意思を示すことが重要である。
安倍晋三政権としてもプーチン氏の年内訪日計画を白紙に戻し、対露外交の立て直しを図ることが急務だ。
メドベージェフ氏の択捉訪問計画に対し、菅義偉官房長官は「絶対に受け入れられない」と牽制(けんせい)していたが、効果はなかった。