農林水産省は21日、自民党の農林水産戦略調査会と農林部会に平成28年度農林関係予算の概算要求案を提示した。拡大する訪日外国人客の需要を農山漁村に呼び込むため、新たに日本食や農山漁村の魅力発信などを支援する訪日外国人客の対応推進事業を設ける。
新事業では、食文化と農山漁村の景観が一体となり魅力を生み出す地域を「食と農の景勝地」と認定し情報発信していく。飲食店での外国語やイスラム教の戒律に沿う「ハラル」への対応などを支援する。また、和食料理人の育成促進や、訪日外国人客が国産の農産物を持ち帰る場合の利便性を高めるため、道の駅などで購入した農畜産物を動植物検疫を受けた上で、空港や船の寄港地で受け取れる体制を整備する。
畜産・酪農の競争力強化対策では、地域ぐるみで酪農家の収益拡大を目指す「畜産クラスター」の構築に向け、畜産関連の施設整備や和牛の生産力向上につながる取り組み支援などを盛り込む。日本食の輸出促進につながる食のグローバル人材の育成や、農地中間管理機構による農地集約の推進、水田活用の直接支払い交付金など生産者支援事業の予算化も求める。