浪速風

お家騒動で傷ついたのは

重光武雄(韓国名・辛格浩(シン・キョクホ))さんとはソウルのロッテホテルでお目にかかった。1988年のソウル五輪の直前である。ロココ調のインテリアで統一された会長室は、日韓両国で多彩な事業を手がけるロッテグループの総帥にふさわしい豪華さだった。

▶立志伝中の人物である。戦前に日本に渡り、戦後、進駐軍が持ち込んだチューインガムを商品化して成功した。社名は愛読したゲーテの「若きウェルテルの悩み」のヒロイン、シャルロッテに由来する。日本での収益を韓国に投資し、ホテルや百貨店、テーマパークのロッテワールドなど巨大財閥に成長させた。

▶経営権をめぐるお家騒動は、どうやら次男に軍配が上がったようだ。日本以上に韓国で注目を集め、「ロッテは日本企業か、韓国企業なのか」と例によって日本たたきの材料にされた。日韓の懸け橋を自任し、毎年、どっさりおみやげをもって帰郷するのが楽しみと話してくれた重光さんには、それが不本意だろう。