世界の航空史上最大級の惨事となった日航ジャンボ機墜落事故から30年という歳月が過ぎた。
犠牲者520人の冥福を祈るとともに、空の安全に対する誓いを新たにしたい。
12日朝、遺族でつくる「8・12連絡会」の事務局長、美谷島邦子さん(68)らは、墜落現場の御巣鷹の尾根(群馬県上野村)に登った。
「御巣鷹の山は遺族の悲しみや怒り、悔しさをすべてのみ込み、励ましてくれる」。美谷島さんから聞いた言葉である。
この30年の間に連絡会のもとには、信楽高原鉄道事故やJR福知山線脱線事故、明石歩道橋事故などの遺族も集まり、慰霊登山に参加して活動をともにしている。「8月12日」を、多くの人が利用する交通機関の安全を誓い合う日にしていきたい。
日本の航空会社は、この日航機事故以来、乗客の死亡事故を起こしていない。事故を教訓に安全運航に対する取り組みを強めてきたものとの評価もできよう。
しかし、国内空港の総着陸回数は、航空需要の高まりに伴い、事故当時に比べて2倍近くに増えている。今年4月には、広島空港で韓国のアシアナ航空機が着陸に失敗し、乗客が負傷する事故を起こした。