日航機墜落30年

「腹減ったぁ」と帰ってこなかった夫思う 残された身重の妻 「29歳から先を生きる」父と同じ年の長男とともに慰霊登山

事故で亡くなった小沢孝之さんの銘標の前で話す孝之さんの妻の小沢紀美さん(左)、息子の秀明さん=12日午前、群馬県上野村
事故で亡くなった小沢孝之さんの銘標の前で話す孝之さんの妻の小沢紀美さん(左)、息子の秀明さん=12日午前、群馬県上野村

 520人が亡くなった昭和60年の日航ジャンボ機墜落事故は12日、発生から30年を迎え、遺族や関係者は早朝から墜落現場となった「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)に慰霊登山した。歳月に思いをめぐらせながら犠牲者を悼み、空の安全を願った。

胎動から勇気

 尾根に向かう足は自然と速くなった。日航ジャンボ機墜落事故で夫、孝之さん=当時(29)=を亡くした大阪府豊中市の小沢紀美(きみ)さん(59)は、今年も慰霊登山に訪れた。

 隣に寄り添うのは、事故当時、まだおなかの中にいた長男の秀明さん(29)。今年、若くして命を失った父と同じ29歳になった。「人生が充実したときだったはず。くやしかったと思います」。幼いときは分からなかった父の無念を強く感じ、「しっかり生きる」と誓う。

 紀美さんが孝之さんと出会ったのは、お互い27歳のとき。出会って1カ月で交際をはじめ、3カ月でプロポーズされた。その日はクリスマスイブ。「はい」と即答した。迷いはなかった。一緒にいるとほっとできた。「この人と人生を歩いていくのだ」と思った。

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