教授 彼はいいことを書いていますね。「世に出る『反知性主義関連本』の著者はというと、どう考えてもまさに反知性主義者そのもの」「反知性主義に陥りたくなければまず、声高に他人を『反知性主義』と罵っているような人々の名前で出た本は読まない、というところから始めるというのが鉄則」…まさに、その通り。相手に「反知性主義」とレッテルを貼って頭から否定すれば、主張の内容がどんなものでも耳に入ってこないから、議論にならない。まさに反知性主義的な態度ですね。
先生 そもそもこんな特集を文學界がやること自体が変だよ。「文學」と何も関係ないんだから。
教授 かつて米ソの対立が激しかった頃、集英社の文芸誌「すばる」が、文学者に米国の核を批判させる特集をしていましたが、あれに似ていますね。米国は、経済的に弱体化したソ連共産党独裁政権を崩壊に追い込むために意図的に軍拡競争を仕掛けていたのに、そういうことを全く考察せず、米国の核だけを批判するという愚かな特集でした。文學界も、その轍を踏んでいますね。