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西欧からの技術導入で近代化を推し進めたことが評価され今年7月、「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産登録された。しかし、日本の産業革命を支えた遺産はほかにもある。江戸幕府が建設を始めた横須賀製鉄所(神奈川県横須賀市)は、フランス人技術者らによって建設され、最新の技術で船や機械の製造、人材育成を行い、明治初期から日本の工業化をリードし続けた。起工から150年に当たる今年は「近代日本の原点」として、改めて脚光を浴びている。(橋本昌宗)
先進技術取り込むため幕府が建設
横須賀製鉄所は、黒船来航以来、さまざまな不平等条約を結ばされた江戸幕府が西洋の先進技術を取り入れ、強力な軍艦や近代的な機械を製造するために計画。慶応元(1865)年11月15日、起工式が行われ、建設が始まった。
製鉄所と名付けられてはいるが、鉄を加工して船や機械を製造することが目的とされ、後に建設された八幡製鉄所(福岡県北九州市)とは性格が大きく異なっている。
横須賀市自然・人文博物館の菊地勝広学芸員は「幕府内では船の修理だけをする施設でもいいという意見もあったが、中心となった幕臣の小栗上野介忠順(ただまさ)らが『造船もできる施設を』と推進した」と説明する。