Mr.マリックが30年前の超魔術ブームの裏側を激白 「帰宅したら知らない女性が…」

 昔は、見た人に「一瞬、魔法を見た」と思われるような世界を見せるのがマジシャンの仕事でした。でも、科学が発展して「もう魔法なんてない」と世の中の人が完全に思う時代になりました。そんな時代に、「超能力」という言葉をユリ・ゲラーさんが持ってきた。それを見て、私は「超能力者の役をやろう」と思ったんですね。もう一度、夢を与えたいと。

 ですから、「手品」とはいわず、マジックとは違う演出をしました。それまでのマジックは、「今からスプーンが曲がります」とか、その後に起こる現象を言わなかったんですね。当時のマジシャンは大体、何も言わずにハンカチを振って、ハトを出したりしていたんです。

 そんなところに、ユリ・ゲラーさんが、理性に訴える方法を持ち込んだ。現象を先に言うことで、「(その仕組みを)考えなさい」ということですね。そうすると、見ている人は科学者の目になるんです。「今からスプーンが曲がる」といわれたら、(曲がった原因が)力なのか、仕掛けなのか、いろいろと疑う。それでも分からないから、マジックとは違う驚きがある。そういう意味で、演出がすばらしかったですね。

 あと、(超魔術シリーズの)番組で使ったのは、「どこから見てもいいですよ」というシチュエーションです。マジシャンとして学んだのは、「自分の目線の中にお客さんを入れておかなければいけない」という掟(おきて)でした。後ろにお客が来たときは、『ゴルゴ13』みたいに殴れ、と言ってましたね(笑)。

 そして、何度繰り返し見ても分からないということも新しかった。ビデオの時代になりましたから、繰り返し見られてしまう。ですから、番組では「何度見ても分からない」「どこから見ても分からない」「何が起こるか言う」と、あえて掟を破った。そして『超魔術』という名前を付けたら、ピタッとはまったんですね。

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