「力がいたおかげ」…妻への感謝の思い
事故から22年後に力さんは結婚し、孫も生まれた。今では「よくここまで、いろいろ乗り越えてきた」と振り返る。
そんな中、ふと思い出すのは真理子さんの母が過去に言っていたことだ。
「まりちゃんは幸せだった。好きな人と一緒になって、好きな仕事をして、子供をもうけて、あんなことになったけど駆け抜けていった。唯一の心残りは孫の顔を見られなかったことね」
真理子さんを失って30年がたち、心に染み入る。
「力がいなかったら、ふさぎこんで生きていたかもしれない。ここまで来られたのは力がいたおかげ」。自分も息子を残してくれた妻に感謝を伝えたいと思う。
ただ、雄一さんにも一つだけ心残りがある。
「まりちゃんが乗務している姿を一度見たかった。お願いしても恥ずかしかったのか、便名を絶対に教えてくれなかった。やっぱりまだ見せてほしい」
妻からの乗務サービスは天国に行くまでお預けだ。
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