空のあなたへ 日航機墜落30年(中)

夢の仕事、最後まで頑張った…客室乗務員の夫 息子と胸張り生きる

「母の声を聞きたい」息子の初めての本音

 物心もついていない力さんに、母が亡くなったことを説明できず、ようやく小学校入学の直前になってから伝えた。力さんは淡々と「知ってるよ」と答えた。

 「まさに『ふびん』という感じ。泣きわめいてくれた方が逆に良かった」

 事故後は雄一さんの母とともに3人暮らし。雄一さんは息子に寂しい思いをさせないよう、仕事に子育てに父と母の一人二役を懸命にこなしてきた。

 ある日のこと。真理子さんの話題になったとき、高校生の力さんが「お母さんの声を聞いたことがない」と漏らした。ほぼ語ることのなかった力さんの母に関する「初めての本音」だった。

 その直後、偶然にもテレビ局から日航を通じて「ボイスレコーダーに残っている乗務員の声が真理子さんのものかもしれない」と連絡があった。

 「息子が『声を聞いていない』って言ったから、出てきてくれたのかな」。2人で急いでテレビ局へ確認しに行ったが、声の主は真理子さんではなかった。

 しかし、生存者の証言やボイスレコーダーの音声からは、真理子さんら客室乗務員たちが最後まで職務を全うする情景が浮かんだ。

 「一番初めに逃げるって言ってたのに…」

 極限状態の中で頑張っていた妻に心を動かされた。

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