その他の写真を見る (1/2枚)
多重人格、性同一性障害、親からの暴力、自殺未遂、獄中出産、ゴーストライター…。「声優のアイコ」を名乗った女が裁判で赤裸々に語った内容は衝撃的だった。男性に睡眠薬を飲ませて金品を奪ったとして昏睡(こんすい)強盗罪などに問われた無職の神(じん)いっき被告(31)。東京地裁で7月下旬に2回にわたり被告人質問が実施された。人格が4歳児に変わったり、小学生の頃から女性でいることに違和感を覚えていたなど、壮絶な人生を神被告の証言をもとに振り返った。(太田明広)
公判で突然4歳児に
2日間の被告人質問とも、上下スエット姿で法廷に姿を見せた神被告。耳に髪がかかる程度の短髪で、肌がすごく白いのが印象的だった。
神被告は「声優のアイコ」を名乗り、男性に睡眠薬入りの酒を飲ませて金品を奪う方法で、東京都内などで相次いで起きた5件の事件で昏睡強盗罪などで起訴された。
昨年9月の初公判では無罪を主張した。普段は男装していた神被告だが、検察側は冒頭陳述で犯行当時は女性の服を着てヒョウ柄の帽子をかぶっていたことを明らかにした。
神被告はその後に起訴内容を認め、弁護側は刑事責任能力がなかったとして精神鑑定の実施を求めている。
「ゲンキ」、「コウジ」、「アイコ」。神被告が本人の知らない間に別人格になっていると訴える。
「一度だけ、公判中にゲンキ君になったことがあった。公判が終わった後、弁護士との面会で元に戻った。その時は眠りから覚めるような感覚だった」と話す。4月に開かれた第4回公判の人定質問で、「ゲンキ」と名乗った神被告。「ゲンキ」は4歳児の幼い男の子だ。母によると、5年前も幼い子供のようになり急に甘えてきたという。