汚染水解決へ大きな一歩 井戸運用、「凍土壁」に道

 地元漁協が汚染された地下水を浄化後に海へ流す「サブドレン」(井戸)を容認したことで、東京電力福島第1原発の汚染水問題は大きく動き出す。サブドレンの運用は、政府が汚染水の抜本策と位置付ける「凍土遮水壁」の開始条件となっていた。凍土壁との併用で汚染水をためるタンクの解消にも期待がかかる。

 東電は「漁協の皆さんが決議したことに感謝を申し上げます」とのコメントを出した。今年2月に汚染水の外洋流出を10カ月公表しなかったことで、地元の信頼を完全に失っていた東電にとって、漁協の決定は悲願だった。

 福島第1原発には、山側から地下水が1日約300トン流れ、原子炉建屋に入り込んで、新たな汚染水を生んでいる。建屋に入る前に井戸から地下水をくめば、汚染水は半分の約150トンに減る。1~4号機の原子炉建屋の周辺(約1.5キロ)を囲い、地下水を閉め出す凍土壁が運用できれば、新たな汚染水は激減する。

 これまで原子力規制委員会は、凍土壁の運用で地下水と建屋の水位差が逆転し、建屋の汚染水が周囲に拡大することを懸念。サブドレンが地下水位を制御できる特性に目を付け、「凍土壁はサブドレンを運用しなければ認めない」との方針を示していた。

 現在、汚染水をためるタンクは敷地内に約950基あり、約69万トンの処理水がたまっている。浄化装置で汚染濃度は低下しているものの、タンクの処理水の海洋放出を漁協は容認していない。

 福島第1原発のリスクを減らすために、東電は今後、地元との信頼関係を積み重ねて、タンクの処理水の海洋放出という次の判断に踏み切る必要がある。(原子力取材班)

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