共産系「戦争展」後援取りやめ 高島・福岡市長「ルールに従い判断」

「戦争展」の名義後援を承諾しなかった理由を説明する高島宗一郎福岡市長
「戦争展」の名義後援を承諾しなかった理由を説明する高島宗一郎福岡市長

 共産系市民団体が今月開催する「平和のための戦争展」について、福岡市が、特定の政治的立場に立っており市の後援基準に合致しない、などとして名義後援を承諾しなかった。平成24~26年までは後援を認めていた。高島宗一郎市長は6日の記者会見で「行政のルールに従った判断であり、問題ない」と強調した。(九州総局 村上智博)

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 戦争展の主催団体は、「『平和のための戦争展ふくおか』を成功させる会」といい、共産党系の原水爆禁止福岡市協議会などで構成する。18~23日、アクロス福岡(中央区)で、さきの大戦の関連文献や写真を展示し、日本の「加害と被害」の実態を伝える内容という。

 期間中の22日には、九州大大学院の吉岡斉教授が「混迷する原子力発電 復活政策の現状と行方」と題し、講演する。

 吉岡氏は脱原発を目指す有識者の団体「原子力市民委員会」の座長を務める。25年12月には、市内の意見交換会で「(原発は)人体実験とかナチスの行いと同種のものと捉えないといけない。原発は倫理的に許されない」などと発言した。

 成功させる会は2月、市に名義後援を申請した。市は企画書などを元に、「事業遂行能力」や「営利を目的としていない」など、10項目の基準に沿って、後援の可否を審査した。この結果、「特定の政治的立場に立脚していない」との基準に合致していないとして、6月に「不承諾」と返答した。

 市総務課によると、脱原発派の論客、吉岡氏の講演に加え、漫画家の西山進氏の展示作品に「原発再稼働反対」「消費増税反対」などの文言がある▽講演会を企画した「反核医師の会」(東京)のホームページに「安倍首相が用いている『積極的平和主義』というスローガンは戦争行使のためのものである」との記述がある-などを問題視したという。

 市の決定に、主催団体などは一斉に反発した。

 共産党福岡市議団は今月4日、高島氏に対し「市民団体が訴える内容を『検閲』し、憲法が保障する表現の自由を踏みにじるものだ。市は『不承諾』の決定を取り消し、主催団体に謝罪すべきだ」と書面で申し入れた。

 会の運営委員長、石村善治福岡大名誉教授は、憲法改正に反対する「九条の会」の福岡県連絡会の代表世話人を務める。そのほか、呼びかけ人には、慰安婦問題で日本政府に謝罪と賠償を求める「新日本婦人の会福岡県本部」の女性委員もいる。

 同会の事務局長、長能正義氏は産経新聞の取材に「私たちは特定の政治的立場には立っておらず、市の判断は誤りだ」と述べた。

 一方、高島氏は記者会見で「行政は政治的、宗教的に中立であることが求められ、後援すべきかはルールに従い、判断した。現場の判断にはそれなりの理由がある。個別の案件ごとにルールを変えているわけではない」と述べた。