「見た目だけで入浴を拒むのも気がとがめるが、外国人のタトゥーを認めることで、なし崩し的に暴力団関係者の温泉利用も認めることになってしまわないか心配」と漏らすのは神奈川県湯河原町の旅館経営者。反社会勢力との関係性を絶つために取り組んできた過去の経緯を振り返り、「脅しを受け、身の危険を感じたこともある。日本人も外国人にも満足してもらえる方法を早急に考えなければいけないが、これまでの苦労を考えると難しい問題」という。
こうした中、観光庁は全国約3700の銭湯や温泉などを対象に、入れ墨・タトゥーを理由とした入浴の可否の実態調査に乗り出しており、7月末をめどにアンケートを回収、今後の対応を検討するとしている。
“おもてなし”と配慮の両立さまざまな方法で
一部の旅館やホテルでは、入れ墨・タトゥーのある客でも、該当部分をテープで覆い隠せば入浴を認めることで、おもてなしと他の客への配慮を両立させる取り組みも始まっている。
入れ墨やタトゥー、傷跡を隠す防水性に優れた肌色のテープの開発と販売を手がける「ログインマイライフ」(横浜市)によると、温泉施設からの問い合わせは増加傾向にある。昨年は2件だった購入件数も、今年は7月初旬までに「かんぽの宿」など5件に増加。日本人が友達の外国人のために購入するケースもみられるという。