仮想通貨「ビットコイン」の取引所「マウントゴックス」のトップが社内システムを不正に操り、自分の口座残高を水増しした私電磁的記録不正作出容疑などで警視庁に逮捕された。トップは容疑を否認している。
同社では昨年、大量のビットコインが消失する事件があり、これに関与した疑いでも調べられている。
新たな社会インフラになり得ると期待される仮想通貨の信頼性を著しく損なう犯行だ。警視庁には真相の解明を急いでほしい。
同時に、規制の枠外にある仮想通貨が犯罪取引などに使われる実態にも目を向けるべきだ。ルールの確立は、仮想通貨を健全に普及させるための条件である。
同社は自社と顧客の資金を一括管理してきたが、システムの操作権限は逮捕されたトップにほぼ限られていた。こうしたずさんな運営が犯行に結びついたものとみられている。
一方で、マウント社がビットコインの消失で破綻した後も需要は増えている。銀行の海外送金やクレジットカード決済と比べて手数料が安く、すぐに送金できる手軽さも大きな魅力となっている。