安全保障関連法案をめぐる参院の審議が今、岐路に立っている。
第1は、日本を取り巻く厳しい安全保障環境を直視し、国と国民を守り抜くにはどのような安保法制が必要かを論じ切る道である。
第2は、数十年前の情勢下でとられた憲法解釈を固守する野党が「戦争法案」とレッテル貼りを重ね、政府が防戦に追われる、衆院で続けられた審議の繰り返しだ。
眼前の危機に対処し、国の守りを全うする措置を論じあうのは、党派を超えて政治が果たすべき役割である。抑止力強化に資する充実した前者の審議を望みたい。
異なる道に入り込みそうなきっかけをつくったのは、礒崎陽輔首相補佐官が関連法案の「法的安定性」を軽視したと受け取られる発言をしたことだ。
礒崎氏は3日の参院特別委員会に参考人招致され、発言が不適切だったとして撤回、陳謝した。野党側は納得せず、補佐官辞任を要求し、安倍晋三首相の任命責任も追及する構えだ。格好の攻撃材料と踏んでいるのだろう。