お金は知っている

日経新聞のFT買収 日本衰退の道をリードすることだけは御免蒙る

 日本経済新聞社が英名門経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)・グループを買収した。グローバル化に向け大きく舵を切った喜多恒雄会長の決断にまず拍手を送りたいところだが、重大な疑問がある。1600億円の大金を払って、アングロサクソン(英米)が支配する国際金融市場を基盤にしているFTを取り込む意義はビジネス利益だけか、という点だ。

 日経の喜多会長はFTの編集権の独立を保証し、お互いの文化の違いを尊重すると明言した。日経側からFTの編集路線に介入しないわけである。となると、経営統合の重点はニュースやデータなどのコンテンツの相互活用、FTが先を行くといわれるデジタル技術の日経による活用に絞られていく。

 ジャーナリズムというものは基本的にローカルであり、ローカルに根ざしたうえでグローバルな世界に切り込んでいくものだ。

 筆者は日経に長く在籍した。1980年代半ばから後半にかけてワシントンに、90年代後半には香港に駐在し、プラザ合意、日米通商摩擦、ブラック・マンデー(87年10月のニューヨーク株価大暴落)、香港の中国返還、アジア通貨危機など激動する経済の最前線に立った。

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