怒るのも期待しているからであって、選手に本来の力を出してもらいたいから、次につながるいい試合をしてもらいたいからなんです。
〈幸世夫人と3男1女の6人家族。子供たちに柔道を教えたことはない。ただ、根底にあるのは同じ。「自分でやる」ということだ〉
自分の父親は「勉強しろ」とか、何も言わない人でした。今の自分はその父親、母親の教育方針にプラスアルファですね。プラスの部分は「最低限、宿題はしろよ」かな。
長男、次男、三男は柔道をやっていますが、自分は教えたことがありません。全て道場の先生に任せています。先生は礼儀を重視し、あとは楽しくという教え方です。息子が勝とうが負けようが、楽しく稽古に行けばいい。もし本当に強くなりたかったら、自分で頑張ればいいのだから。「勝ちたければ自分で稽古しろ」ということです。(聞き手 大谷次郎)
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〈しのはら・しんいち〉昭和48年1月、青森県平内町生まれ。中学1年生のときに柔道を始め、天理大柔道部時代に才能が開花。身長190センチ、体重135キロ(現役時代)の体格を生かした大外刈りを武器に、平成11年のバーミンガム世界選手権で100キロ超・無差別の2階級制覇。12年のシドニー五輪100キロ超級銀メダル。13年に天理大体育学部講師兼柔道部監督に就任。20~24年は柔道男子日本代表監督。25年3月に天理大を辞め、妻の幸世さんと廃棄物管理会社「マイドス」を設立した。柔道五段。長女と長男、次男、三男の6人家族。
=4月掲載記事を再掲載