この本と出会った

魔方陣は魔法陣ではない 『魔方陣の世界』 美術家・中ザワヒデキさん

【この本と出会った】魔方陣は魔法陣ではない 『魔方陣の世界』 美術家・中ザワヒデキさん
【この本と出会った】魔方陣は魔法陣ではない 『魔方陣の世界』 美術家・中ザワヒデキさん
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 魔方陣は、魔法陣ではない。魔「法」陣は幻想文学などにおいて、魔術に使われる図形のことだが、魔「方」陣は江戸時代には「方陣」と呼ばれて研究されていた、純粋に数学的な数の美である。

 私は昨年、「色彩魔方陣」と題する美術作品のシリーズを個展で発表した。数学的な美を、色彩の美として論理的に提示することが目的で、造語であるこのタイトルから、そうした意図が自明だろうと考えていた。ところが展覧会が始まってみると、多くの若い観客が魔方陣を魔法陣と勘違いするなど、魔方陣そのものが知られていないという事態に直面した。

 復習しておくと、魔方陣とは1から始まる整数が正方形の格子にひとつずつ収められ、各行、各列、各対角線の和がすべて等しいものである。1から9までを並べた「3×3」の魔方陣(3次方陣)は、回転や裏返しを除くとただ1個しか存在せず、各行、各列、各対角線の和はすべて15である。

 こうした魔方陣のおもしろさに接したことが、誰しも一度はあるだろうと思っていたが、もしもそうではないとしたら、ゆとり教育の悪弊だろうか…てな詮索はともかく、魔方陣を美術作品とするためのリサーチの最中に、私はこの本と出会った。