舞台の遺伝子

「はい、お嬢様」サンダーバード・パーカー人形の繊細、豊かな表情の秘密 からくりの街 神戸・有馬

 2人は西田氏が平成21年に亡くなるまで交流し、ブランダール氏は同館のためにパーカー人形3体を作ったほか、16年には来日。淡路人形浄瑠璃館(現・淡路人形座)などを訪ねている。

 「神戸にはからくりの文化や技術が根付いている」と、有馬玩具博物館の福本麻子館長(35)。かつて木工が盛んだった有馬には、伝統工芸品にからくり筆「有馬人形筆」がある。字を書こうとすると人形が筆の尻からぴょこんと飛び出す。

 明治から昭和にかけて外国人に土産物として親しまれたからくり人形「神戸人形」もまた同じ。こちらは淡路人形浄瑠璃と深いつながりがあり、神戸港が開港してトーキー映画が伝わり、衰退を余儀なくされた人形師たちが、その製作技術を応用して作ったといわれている。

 ろくろ首などお化けをモチーフにした黒い人形で、スイカを食べたり酒を飲んだり、コミカルな動きが特徴だ。だが、作り手は減り、昭和末期には廃れてしまう。

 「からくりに共通するのは、『人を感動させたい』という作り手の思い。多くの人に知ってもらいたい」と福本館長。同館では今年、神戸人形の復興に取り組み始めた。

 はさみやカッターナイフを使わず作ることができる紙のからくり人形にリメーク。作家3人がコミカルな動きのからくり細工を開発し、製作キット「神戸ハイから」を3月から兵庫県内の観光施設などで発売した。

 「売り上げの一部で、日本中のからくり作家をまとめる集団を作りたい。世界にからくりを発信したい」と、金井啓修社長は熱く語る。神戸の人形師たちの思いが世界を驚かせる日が、また来るかもしれない。

文 池田美緒

写真 頼光和弘

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