昭和20年の那須温泉大火、防火祈願復活 「復興の歴史に触れて」

 那須町湯本の温泉街が全焼した昭和20年の大火を後世に伝え、火災の恐ろしさを改めて知ってもらおうと那須温泉(ゆぜん)神社(同町湯本)で1日、「湯本大火70年祭」が開かれる。約10年前までは毎年、大火のあった8月1日に防火祈願が行われていたが、途絶えていた。(伊沢利幸)

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 同祭では防火祈願の神事の後、社務所で人見昇三宮司(79)らが大火の体験を語る。

 大火は昭和20年8月1日夜に発生。2日朝にかけて燃え広がった。炎は瞬く間に旅館や住宅などをのみ込み、被災者は115世帯268人に上った。

 同夜は空襲警報が発令中で、住民は同神社などへ避難を始めたところだった。当初、焼夷(しょうい)弾が落ちたものとみられていたが、現在では、商家で灯火管制下で使っていた照明用のロウソクの消し忘れが原因だったとされている。

 当時小学生だった人見宮司は「『火事だ』という声で飛び起きたが、霧が深い夜で、最初は炎が遠くに見えた。神社近くの5階建ての旅館が崩れ落ちる様子を目にしたときは足の震えが止まらなかったことを思い出す」と振り返る。

 大火後、間もなく終戦。戦後の物資不足の中、建物の再建や水道施設の復旧、道路の都市計画決定など数年かけて、官民一体で温泉街復興を遂げた。

 今回の70年祭は、町民らの大火の記憶が薄らぐ中、苦難を乗り越えて現在の繁栄を築いた先人に感謝し、後世に伝えようと氏子らから声が上がり、終戦70年祭と合わせて開催することになった。

 人見宮司は「大火を乗り越えて復興した湯本の温泉街の歴史に改めて触れてほしい」と話し、出席する氏子ら関係者には人見宮司の父親が大火後、温泉街を撮影した写真に大火の歴史を伝える文書を添えたパネルを記念品として配る。

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