子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に慢性的な体の痛みなどを訴える事例が相次いでいる問題で、県はこれまでに県内で延べ28件の副作用の事例を把握していることを公表した。県は接種の積極推奨の中止から2年がたっても、国による健康被害が出た人に対する認定審査が進んでいないとして、国に早期救済などを働きかけていく。
子宮の入り口にできる子宮頸がんのワクチンは、がんを引き起こすウイルスの感染防止に効果があるとして、平成22年度に国が助成を開始。25年4月から予防接種法に基づく定期予防接種に位置付けられたが、接種後に痛みを訴える報告が全国で相次ぎ、厚生労働省は2カ月で積極推奨を中止した。
県健康福祉部によると、県内で副作用について医療機関から厚労省に報告があったのは21件、保護者からの報告を市町村が受け付けたものが7件あった。
県は副作用への診療について、専門的な知見を持つ信州大医学部付属病院(松本市)と佐久総合病院(佐久市)に協力を依頼し、両院での受診を呼びかける。また、国に対しては健康被害を受けた人に対する早期救済と治療法の研究促進を促したいとしており、具体的な要請内容を検討している。