さいたまスーパーアリーナで「魔法の美術館」 31日まで開催

 作品に近づくと、画面の中に黒い塊のつくもがみが登場する。来場者が右へ歩けば右へ。左へ行けば左へ。しゃがむと、つくもがみもしゃがむ。目をこらさないとなかなか見えない神様だが、画面の中で、はっきりその存在が分かる瞬間は意外に早く来る-廃虚に運び込まれる廃棄物の山の中だ。

 レトロな扇風機や茶だんす、赤い消火器、扉1枚の冷蔵庫など、昭和30年代を思わせる廃棄物を、つくもがみは頭、胴体、両手足に吸い寄せてロボットに変身する。「人間が出したごみで、人間の形を表現した。人間自身もまた、地球から見たらごみですから」

 作品は「実は小さなギミック(隠し要素)がある」という。暗闇の中、魂が宿った古家電はそっと電源が入る。ライトが光ったり電子レンジが動いたり。現代によみがえったつくもがみは、私たちに何を問いかけているのだろう。

 根強い人気作〈スプラッシュ・ディスプレイ〉(的場やすし/山野真吾/徳井太郎)は、テーブル上を移動する光の円にスポンジをぶつけると、白く小さなビーズが盛り上がったり、噴水のしぶきのように噴き上がる。作者の一人、的場さん(52)は「まるで爆発するように」と、より高く、より華やかに、何度も風量を調整したという。

 しぶきの美しさに気づいたのは、研究室で煙に映像を映す実験中だった。「煙は空(くう)に消えるけれど、小さな発泡スチロールは空中で映像の光を受け止めた」。高い人気を受け、さいたまでは2倍の大きさに拡大し、迫力が増した。

 子供たちは夢中で上半身を乗り出し、両手を伸ばして、きらめく不思議な感覚を体験している。