李登輝氏会見詳報(上)

「中国は領土拡張の野望むき出し」「日本統治で現代的社会へ変貌」 講演要旨編

【李登輝氏会見詳報(上)】「中国は領土拡張の野望むき出し」「日本統治で現代的社会へ変貌」 講演要旨編
【李登輝氏会見詳報(上)】「中国は領土拡張の野望むき出し」「日本統治で現代的社会へ変貌」 講演要旨編
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 訪日した台湾の李登輝元総統(92)が7月23日に都内の日本外国特派員協会で行った講演と記者会見を詳報する。講演の要旨は以下の通り。

中国は領土拡張の野望むき出し

 「今日は2007年6月以来、8年ぶりにこちらで講演する機会を頂き、大変光栄だ。この8年間で中国は経済的にも発展を遂げ、国際社会における発言力を増してきたと同時に、ますます領土拡張の野望をむき出しにしている。世界の政治の方向性を指導する立場にあった米国の発言力が落ちていることと無関係ではない。グローバルなリーダーの不在。国際秩序が崩壊したともいえる。こうした混沌とする時代に直面し、常に私の頭を離れることがないのはわが台湾の行く末についてだ。今日は『台湾の主体性を確立する道』と題してお話ししたい」

 「台湾は移民で構成された社会だ。有史以前から台湾の平地や山地に暮らしていた原住民、中国の福建などから海をわたってきた漢人、客家とよばれる人々、そして戦後になって中国大陸から渡ってきた外省人たちを主として構成されている。その一方で400年間に6つの外来政権によって統治され、清朝時代には『化外(けがい)の地』として版図にさえ組み入れられない時代もあった。1895年、下関で日清戦争の講話会議が開かれ台湾の割譲について話し合われたが、日本側の代表である伊藤博文に対し、清朝側の李鴻章はこういったという。『台湾は非常に治めにくいところだ。3年に1回は小さな難が、5年に1回は大きな難が起きる。清朝の管理の行き届かない化外の地だ』」

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