浪速風

「滋賀」県でいいじゃないか

司馬遼太郎さんの「街道をゆく」は「湖西のみち」からスタートした。「『近江(おうみ)』というこのあわあわとした国名を口ずさむだけでもう、私には詩がはじまっているほど、この国が好きである」と筆を起こす。近江の名は古くは近江商人、最近では近江牛、近江米のブランドで全国的に知名度が高い。

▶ならば県名を「近江県」に変えてはどうかと声が上がった。「琵琶湖県」も候補になった。民間調査会社のデータで、全国の都道府県の中で滋賀県の認知度が同率最下位という不名誉な結果が出たからだ。そこで県が県民約3000人に尋ねたところ、82・8%が「変える必要はない」と答えた。

▶滋賀も由緒ある名である。万葉集の柿本人麻呂の歌に「楽浪(ささなみ)の志賀」とあるように、古くから琵琶湖西岸はこう呼ばれた。市町村合併で次々に新しい名がついたが、定着するには時間がかかる。地名はそう簡単に変えるべきではない。香川県を「うどん県」という遊びは別として。