長田暁二さん「戦争が遺した歌」刊行 軍歌や軍国歌謡…時代の背景考察

長田暁二さん(竹中文撮影)
長田暁二さん(竹中文撮影)

 戦後70年の今年、音楽文化研究家の長田暁二(おさだ・ぎょうじ)さん(85)が『戦争が遺した歌』(全音楽譜出版社)を刊行した。代表的な軍歌や軍国歌謡など253曲を掲載。歌が流行した時代背景も解説し、音楽史と日本の戦争史をひもといた。長田さんは「歌を通して戦争の背景を考察した本。戦時期に生きた人間として遺言のつもりで書きました」と語った。

 長田さんは岡山で生まれ、昭和20年8月17日に海軍入隊が決まっていた。ところが、その2日前に終戦。軍からは「自宅待機」を言い渡された。

 「その時代は、ラジオから流れていたり、大人が歌ったりしていて、頭の中に刷り込まれた歌がたくさんありました。戦争を知らない世代にも、歌を通して戦争を見つめてもらいたかった。70年続く平和のありがたさを少しでも味わってほしくて、自分の反省を踏まえた本を書こうという気持ちになりました」

 28年に駒沢大を卒業。入社したレコード会社「キングレコード」ではディレクターを務め、「芸術祭賞」など数々の音楽賞を受賞した。ポリドール(現ユニバーサルミュージック)などを経て、57年に音楽制作会社「明治音楽企画」を設立。その経験を生かし、独自の音楽評論を展開する。

 本著では太平洋戦争などの年代を記載し、歌を年代ごとに分類した。長田さんは「時代に応じて歌の内容は変わってくる。時代を象徴する歌をまとめました」と話した。(竹中文)