第97回全国高校野球選手権埼玉大会は、花咲徳栄が4年ぶり3度目の優勝を果たし、県内157チームの頂点に立った。同校の強さに加え、大会終盤に話題をさらったのが公立勢の健闘で、その中心は準決勝で浦和学院の春夏連覇を阻んだ白岡。また、昨年に続いて序盤から番狂わせが続出し、シード校で明暗が分かれた。今大会の特徴を振り返る。(宮野佳幸)
■公立勢健闘
ベスト4に白岡と松山が残り、平成10年の滑川(現・滑川総合)以来、17年ぶりの公立校甲子園出場に期待がかかった。白岡は16強以上は初で、松山も24年ぶりの4強。熊谷も33年ぶりの8強入りを果たし、古豪復活を印象付けた。
白岡の現チームは夏まで公式戦0勝だったが、谷中壮樹、永島一樹のタブルエース態勢が今大会では大量失点を防ぎ、4試合連続の逆転勝ちなど攻撃でも粘り強さを発揮。「この場を楽しまないと」(鳥居俊秀監督)というノーシードゆえのプレッシャーのなさも手伝い、のびのびとしたプレーで新たな歴史を作り上げた。
■得点力に差
Aシードの川越東は朝霞西に敗れ、まさかの3回戦敗退となった。渡辺努監督は「受けて立ってしまった」と強豪校ならではの勝ち上がる難しさを話した。
3回戦で敗退したシード校の大半が2点差以内の接戦で敗北。一方で優勝したCシード花咲徳栄は、決勝以外の全試合で5点以上の差をつけ勝利した。得点をもぎ取る力がシード勢の明暗を分けた格好となった。
このほか、記録では朝霞の田頭(でんどう)大希投手が富士見戦で無安打無得点試合を達成。志木は蓮田松韻を相手に1試合最多犠打タイとなる11犠打を決めた。
■総合力の花咲徳栄
花咲徳栄は、3番・岡崎大輔と4番・大滝愛斗を中心とした打線が7試合で69安打54打点をたたき出し、4回のコールド勝ち。守りでは鎌倉知也と高橋昂也の継投でわずか10失点、失策4と堅守を誇った。
同校は昨夏の県大会初戦敗退からチームを作り直し、秋季大会準決勝で浦和学院に敗北してからは「若い子だからと遠慮しなかった」(岩井隆監督)という徹底的な練習で高い総合力を身につけた。岩井監督は優勝後、「前回の甲子園は4年前で、今回は初出場のよう。甲子園に行ってからが勝負です」と語り、挑戦者として大舞台に臨む。