今月中旬、訪中した国家安全保障会議(NSC)の谷内正太郎局長に対し、中国側は「ハイレベル」な連続会談で対処した。
16日には外交を統括する楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)国務委員が夕食を挟み、5時間半にわたって会談し、翌日午前には、常万全国防相が会談に応じた。そして、その日の午後、会談に出てきたのは党内序列ナンバー2で首相の李克強氏である。
外交上の格式を重んじる中国で外国の「事務方官僚」へのこのような厚遇は前代未聞である。
それは谷内氏が単なる「一官僚」にとどまらず、安倍晋三首相の信頼が厚く、日本外交のキーマンであることを、中国側がよく知っているゆえの対応であろう。
そのことは、中国の指導部が今、安倍首相を非常に丁重に取り扱おうとしていることの証拠だ。安倍首相を粗末にできないと思っているからこそ、「腹心官僚」の谷内氏を手厚く歓待したのである。