興譲館高、スマホで災害図上訓練授業 情報交換で「救える命」がある 山梨

 都留市の県立都留興譲館高で工業科1年生男女120人が、スマートフォン(スマホ)を活用して富士山噴火を想定した災害図上訓練授業を体験した。全員にスマホが配られ、ソーシャル・ネットワーキング・システム(SNS)をコミュニケーションツールとして活用し、生徒間で道路被災情報を交換しながら制限時間内に目的地を目指した。途中で高齢者や幼児ら災害弱者を助け出すミッションもあり、「自助」だけでなく「共助」について考えさせるプログラムが組み込まれた。

 プログラム用のアプリケーションの構築はKDDI研究所がサポートし、県総合教育センターの吉田恵子主幹・研修主事が授業を担当した。生徒は図上訓練を前に減災には「公助」「自助」「共助」があり、体力、行動力とスマホを活用できる高校生は共助の中心になることを学んだ。また発信する情報には自分に関係ない情報でも他の人に有益なケースもあるなど、情報発信が共助に重要であるとした東日本大震災の教訓を教えられた。

 スマホを活用した図上訓練は被災・避難場所が異なるA~Eの5グループに分かれて実施。配られた別々の情報シートを基に生徒は、リアルタイムでコミュニケーションを交わすチャットの掲示板に「トンネルが崩れて通行止め」「住宅地で火災、北へ向かう道は進めない」「崖が崩れて通行不能」などの道路に関する情報を書き込み、仲間に知らせた。これらを共通情報として地図上にメモして、日没までの120分間に目的地を目指した。

 しかし、ミッションが発生する。「老人5人を避難場所に連れて行くには高校生5人の手助けが必要」「3つ子の幼児を避難させるが、おぶって連れていくには高校生3人の手助けが必要」「古い倉庫の中の道は6人が集まれば、がれきをどかして通行が可能になる」など。生徒はそれぞれ避難経路を確保し、災害弱者を避難させるミッションに挑んだ。

 全グループが制限時間内にミッションクリアに成功した。訓練を経験した生徒たちは災害時のスマホ利用を「自分の知らない情報を知ることができる」「安否確認に役立つ」。注意点は「嘘のない情報であること」「発信した情報を更新しないと、古い情報が拡散してしまう」。授業の感想として「情報を発信することで救える命がある」「情報共有でルートを探して家に行く方法を見つけることができる」「災害現場を見つけたら、(文章より)写真で発信する方が手っ取り早く理解される」などを挙げた。

 都留興譲館高は前身の谷村工高時代から市社会福祉協議会と連携して防災活動の心構えを学んだり、実技、啓発活動を実施したりしている。富士北麓地域から通学する生徒も在籍しており、今回の訓練となった。KDDIによると、スマホを活用した高校生の災害訓練は全国的に珍しく、吉田主幹・研修主事は「今回の訓練結果を精査して、KDDIの協力を得て、システムに改良を加え、他の高校でも実施したい」と話していた。

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