浪速風

時代を象徴した五輪エンブレム

コンペの提出期限を忘れて、わずか2時間で仕上げたというのは本当だろうか。亀倉雄策さん(1915~97年)が制作した1964年東京五輪のエンブレムは、わが国のデザインの金字塔である。日の丸をイメージした赤い円に金色で五輪マークと「TOKYO 1964」。簡潔にして斬新だった。

▶大会エンブレムは五輪史上初だったが、さらに言葉の壁を取り払うため「デザイン懇話会」を発足させ、競技や施設の標識などを絵文字で表現した。作られたデザイン・マニュアルは、その後のスポーツイベントなどの基準となった。グラフィックデザイナーの地位も格段に向上した。

▶懇話会に参加した亀倉さんは「それまでの日本人はチームワークが苦手で、団体行動に向いているとか、時間を守るというのは東京五輪以降に確立したものだ」と述懐していた。五輪によって日本の社会は大きく変わった。2020年大会のエンブレムはどんな時代の象徴になるのだろう。