新聞に喝!

新国立白紙「日本らしさの欠落」とは

■大阪大学副学長・星野俊也

 総工費2520億円。話題の新国立競技場のデザイン・コンペで審査委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏でさえ、「えーっ」と思い、「本当?」と驚いたこの数字をきっかけに、安倍晋三首相は2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場の建設計画の「ゼロベース」での見直しを発表した。

 主要紙の18日付社説は、「計画の白紙撤回を評価したい」(読売)、「祝福される聖地を目指せ」(産経)と、遅きに失したとはいえ、曲がりなりにも一度決定された公共事業の軌道修正を好意的に受け止めるものと、「強行政治の行き詰まりだ」(朝日)と、安保法制や原発問題にも絡め、「民意を顧みず、説明責任を避け、根拠薄弱なまま将来にわたる国策の決定を強行する」政府像を批判するものとほぼ二分されていた。

 確かに新国立をめぐる迷走はいま始まったわけではない。急激に膨らんだ経費や収支見通しの甘さをこの際見つめ直すなら、箱モノの議論ばかりでなく、主役となる競技者たちの育成やスポーツ振興、国民の健康増進など無形の効果にも一層の目配りを期待したい。