花形出番です

観世流能楽師・鵜澤光さん(36)(4)

平成25年の「道成寺」の舞台より (前島吉裕撮影)
平成25年の「道成寺」の舞台より (前島吉裕撮影)

■見せたい能役者の性根 

 普段から、女性の能楽師だからといって特別視されないように率先して働き、人の倍動くことを心掛けてきました。楽屋では装束を汚さないよう化粧も絶対にしない。芸を磨くだけでなく、まず、楽屋で役立つ人間と認めてもらえるように努力を続けました。

 囃子では女性も増えましたが、私のようなシテ(主役)方は少ない。男性の体が基盤になっている芸能ですが、肉体的にマッチョになればいいわけではなく、性差を個性と考えたい。

 能には歌舞伎のような女形もおらず、声も作らない。一生、持って生まれた自分の声と体を練って、存在感の強さを模索する。その作業に男女の別はない。

 平成20年に独立し、25年に大曲「道成寺」を披(ひら)き(初演し)ました。能楽師の卒業論文というだけあって決まり事が多く、2年がかりで準備しました。鐘に飛び込むなど、やってみないと分からないことが多く、一つ一つ驚きながら稽古を重ねました。

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