知財交流、県外へ展開 「川崎モデル」 市、中小に技術・情報提供

 川崎市は、大企業が開放した特許などの知的財産(知財)を地域金融機関と連携して中小企業に紹介し、自社製品の開発に結びつける知財交流事業を県外に展開する。市は「川崎モデル」として市内で取り組んできた事業をスケールアップすることで、市内中小企業のビジネスチャンス拡大を図る。今年度中に宮崎県など4県市と連携し、企業の交流会や金融機関を交えた勉強会などを開く。

 市は川崎信用金庫など市内中小企業の情報を多く持つ金融機関と連携し、各企業の優れた技術や経営者に関する詳細情報を収集。この情報を基に、平成19年以降、市内に拠点を持つ富士通や東芝など大企業が自社製品での活用を見送った知財情報を市内中小企業に提供し、活用してもらうよう取り組んできた。

 大企業側は保有特許の活用につながり、中小企業側は技術高度化や新製品開発を図れることから、これまで、21件の大企業と中小企業のマッチングが成立し、このうち14件が製品化に至っている。

 振動を抑える富士通保有の制振技術を使って、棚メーカー「ケンラックシステム」(中原区)が、地震の揺れから電子機器などを守る制振棚の製品化につなげた。

 県外展開では、川崎市と同じく下請け型の中小企業が点在する宮崎県など4県市と連携する。

 他自治体との連携により、各地の大企業が保有する特許情報の入手が容易になるほか、地方自治体が独自に実施する企業支援策などを市内中小企業が受けやすくなるという。市は、地方に工場を持つ市内中小企業が多いことから、大きなメリットがあるとしている。

 市は、各地域で知財を学ぶ交流会を開催するほか、保有特許を提供してくれる大企業を新規開拓する。他にも連携を希望する自治体が多いため、連携先拡大も視野に入れる。

 市企画課の木村佳司課長補佐は「知財の交流をきっかけに、中小企業の活性化につながる取り組みにしていきたい」と意気込んでいる。

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