だが、相談員から、「通わないと生活保護を打ち切るよ」と連絡が入る。「発達障害」などの病名を告げられ、再度、通院するよう念を押された。通院と生活保護受給は関連がないが、男性は「生活保護が出なくなる」と、通院を再開した。
その後、クリニックの仲介でシェアハウスに転居。ベニヤ板で仕切られた3畳ほどの部屋だった。トイレは共同。風呂はなく、有料のシャワーのみだった。「スタッフがダイヤル式の部屋の鍵番号を知っていてクリニックを休むと訪問を受ける。シェアハウスに住まわせるのは患者を管理しやすくするためではないか」と男性は推測する。
「あなたはお金を管理できない」と生活保護費を全額、封筒ごと預けさせられた時期もあった。1日千~1500円程度の「お小遣い」を与えられたが、クリニック側から預かり証などをもらった記憶はない。
男性は最近になってクリニックを離れ、障害者就労支援施設に通いながら自立の道を模索している。「早く仕事探しをしたかったが、クリニックは自立するよう仕向けていないと感じた。いま、ようやく自分を変えられそうだと思っている。クリニックに通った6年間は無駄だった」