【ロンドン=内藤泰朗】英中部のバーミンガム大は22日、世界で最も古いイスラム教の聖典コーランの写本が同大図書館の保管庫から発見されたと発表した。見つかったのは、2枚の羊皮紙に古いアラビア語で書かれたコーランの一部の章。同大の研究者が、図書館の新しい年代の史料の中に古い羊皮紙が紛れ込んでいるのを見つけ、炭素の放射性同位体を使った年代測定を行ったところ、95%以上の確率で、568~645年に書かれたものであることが判明した。
イスラム教の預言者ムハンマドが生きていたのは570~632年ごろとされる。預言者と面識がある人物が書き写した可能性もあるという。また、コーランは第3代カリフ(預言者の後継者)ウスマーンの命令で650年ごろ初めて1冊の本として編纂(へんさん)されたと伝えられており、それより古い写本となる。
この写本は1920年代に、英国の実業家がイラク生まれのイスラム教司祭を中東に派遣し、収集した史料の一つ。同大は今年10月2日から一般公開する予定だ。