ビジネスの裏側

「打倒中国」日の丸ロケットが反転攻勢「こうのとり」打ち上げロケットのコスト削減が超スゴイ 8月打ち上げに世界が注目

 米国衛星製造協会によると、通信や放送、気象関連の商業衛星サービスは、この10年で世界で2倍超の約12兆円に伸びている。今後、新興国を中心に企業が自前の衛星を所有する動きが広がり、ロケットによる衛星の打ち上げ需要の拡大が見込まれている。

 ところが、衛星の打ち上げは、欧州、ロシア、中国の企業が世界シェアの9割を占めている。日本にも衛星を使った通信事業を手掛ける大手があるにもかかわらず、その衛星の打ち上げは海外勢に奪われているのが現状だ。

 ネックは打ち上げコストの問題だ。主に「こうのとり」を打ち上げるH2Bは140億円程度といわれているが、商業用に利用されるH2Aでも約100億円にのぼる。これに対し、商業衛星の打ち上げで実績がある欧州企業は、受注件数が多い分だけ製造コストを下げることができ、H2Aと比べて1~2割近く安い価格で打ち上げているとされ、中国の政府系企業なども低価格で攻勢をかける。

 このためH3の打ち上げコストは50億円を目指している。「塵もつもれば…」とコスト削減を積み上げるH2Bのノウハウも生かしていく必要があるのだ。

 ただ最近は、打ち上げコストの価格破壊の動きが注目されている。ロケットの機体をこれまでのように使い捨てにせず、再利用することでさらなるコスト削減につなげる試みだ。

 電気自動車のテスラ・モーターズの経営も手掛ける資産家、イーロン・マスク氏が創業した米スペースX社は今年1、4月に無人ロケット「ファルコン9」を打ち上げ、いずれも失敗した。大西洋上に浮かぶ無人プラットホームにロケットの1段目を再着陸させることでコスト削減を目指している。実用化すれば宇宙飛行コストが従来の100分の1の約6千万円にすることができるという野心的な計画だが、成功には至っていない。

国内中小企業育たず

 日本勢の苦戦は、数十万点ものロケットの部品を製造する日本の中小企業の経営に波及する問題だ。