銀幕裏の声

世界のアニメ地図塗り替える-宮崎駿監督不在、ジブリ休止の中、異端児が挑戦 傑作『バケモノの子』製作秘話

日本アニメの未来見据え

 「自分が大好きな日本のアニメについて、米国からの視点で考えてみたい」。幼い頃から宮崎アニメなどのファンだった斎藤さんは高校卒業後、こんな思いを抱き、米国の大学へ留学する。

 「ジャパニメーションという言葉が生まれるぐらい、当時、日本では世界中に日本アニメが浸透していると信じられていました」

 だが、暴力・性的描写に厳しい米国において、日本の優良なアニメの多くが年齢制限を設けられ、本当に見てほしい子供たちに日本のアニメが見られていない現状を知り、斎藤さんは愕然とする。「多感な時期にこそ見てほしい日本のアニメがたくさんあるのに…」

 斎藤さんは帰国し、マッドハウスへ就職する。すでに採用試験は終わっていたが、「スタジオ見学だけでもさせてほしい」と斎藤さんは粘り、そこで米国で痛感した思いの丈を打ち明けた。このアニメ好きの青年の情熱に、スタジオを案内した男性は優しく言った。「来月からうちへ来なさい」。男性はマッドハウスの創始者で数々の名作アニメを世に送り出してきた名プロデューサー、丸山正雄さんだった。

強力タッグの誕生

 斎藤さんがプロデューサーとして細田監督と初めて仕事をしたのが、「時をかける少女」だった。

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