日曜に書く

不正競争防止法が成立…「産業スパイ天国」返上なるか 論説委員・井伊重之

 しかし、日本では外国企業への技術流出を厳しく取り締まる制度がなかった。「産業スパイ天国」と揶揄(やゆ)されるのはこのためだ。「技術の不正流出は、それを守れなかった企業の恥」として被害企業が外部に事実を公表せず、泣き寝入りすることも多かったという。そうした内向きの空気が法改正で変わることが期待されている。

 経済産業省は、これまでも不正競争防止法を段階的に強化してきた。だが、企業秘密の流出事件が続き、日本の国際競争力の低下にもつながっているとの産業界の声を受け、抜本的に見直した。これまで罰金上限は個人で1千万円、法人で3億円だったが、個人で2千万円、法人は5億円とし、海外企業への漏洩は3千万円、10億円にそれぞれ改定した。

 ◆海外への漏洩は厳罰化

 外国企業などへの不正流出を厳罰化するのは、その経済的な損失が極めて大きいからだ。国際競争力の源泉である自国の先端技術が盗まれて世界市場における競争に負ければ、下請け企業などを含め、国内の雇用が奪われかねない。

 このため、今回の法改正では個人や法人の犯罪収益の没収規定も設けた。欧米各国とも海外への技術漏洩には神経をとがらせて罰則を強化しており、日本もようやく国際標準に並ぶことになる。

会員限定記事会員サービス詳細