鑑賞眼

国立劇場7月歌舞伎鑑賞教室「義経千本桜」 充実の菊之助 匂い立つ「銀平」

 6月に続き、慣例の歌舞伎鑑賞教室。88回目となる当月は、歌舞伎の3大名作の一つ「義経千本桜」から「渡海屋(とかいや)」「大物浦(だいもつのうら)」の2場を取り上げた。芝居の前には、劇中で義経に扮(ふん)する中村萬太郎による「解説 歌舞伎のみかた」が付く。

 さて、舞台。尾上(おのえ)菊之助の充実した俳優ぶりが際立った。船宿・渡海屋に宿泊中の義経(萬太郎)一行を捕えんと踏み込む頼朝の家来、相模五郎(坂東亀三郎)と入江丹蔵(尾上右近)をあしらう宿の主、銀平役での世話場の啖呵(たんか)が見事。斬りかかる2人に、「武士の武の字は戈(ほこ)を止(とど)むる」と諭すさまが匂(にお)い立つ。女房、お柳(りゅう)の中村梅枝(ばいし)も落ち着きあるさま。銀平は実は平家の大将、知盛。お柳は典侍(すけ)の局(つぼね)、2人の子は安徳天皇。「実は」となっての変化もいうことなし。初役とは驚くばかり。

会員限定記事会員サービス詳細