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【台北=田中靖人】台湾の与党、中国国民党は19日、台北市内で党大会を開き、来年1月の総統選の候補者に洪秀柱立法院副院長(国会副議長に相当)=(67)=を正式に決めた。野党、民主進歩党は蔡英文主席(58)が候補者で、これにより事実上の女性対決の構図が固まった。
党内予備選で本命視されていなかった洪氏の指名には、6月17日の候補者内定後も異論があったが、党大会では異議は出ず、拍手で承認された。
洪氏は戦後台湾に移住した外省人の家庭出身。この日は低支持率が予想される本省人系の有権者を意識し、台湾語で家庭の貧しさを強調。「最も庶民のことを理解し、公平と正義を重視する総統になる」と訴えた。朱立倫主席も「苦しい今こそ団結し、再出発するときだ」と結束を呼びかけた。
ただ、世論調査会社「台湾指標民調」が6月末に発表した調査結果によると、蔡氏の支持率47・7%に対し、洪氏は27・8%。同月中旬の国民党の調査では洪氏の支持率は46・2%だったが、洪氏が連邦制による中台統一を目指していると取られかねない発言をしたことから人気が急落した。このため洪氏は演説で、「(馬英九政権の対中政策の前提である)1992年コンセンサスの基礎の上に台湾優先(路線)を堅持する」と懸念払拭に努めた。
洪氏はまた、指名後の訪米を企画しようとした朱主席らに反発するなど、洪氏陣営と党執行部との微妙な路線の違いも懸念され、党の組織力を十分に活用できるか課題が残る。
総統選ではこのほか、親民党の宋楚瑜主席(73)の出馬も取り沙汰されている。総統選と同日に行われる立法委員(国会議員)選の票のかさ上げが狙いとされ、近く出馬の是非を判断するとみられる。