高論卓説

東芝問題「不適切」か「不正」か オリンパス上回る規模、ミスでは済まず 

粉飾決算疑惑に揺れる東芝本社=東京都港区
粉飾決算疑惑に揺れる東芝本社=東京都港区

 東芝が粉飾決算疑惑に揺れている。インフラ事業などで経費を低く見積もることで利益を過大に計上してきたというもので、平成27年3月期の決算が確定できない異常事態が続いているのだ。

 利益の水増し額は、当初500億円程度とされていたが、その後、1000億円以上、あるいは1500億円を超えるという報道がなされている。23年に発覚して大問題になったオリンパスの粉飾額は確認されただけで1300億円余りとされていたので、それを上回る規模の会計不祥事に発展する見込みとなっている。

 本来、3月期決算の上場企業は株主総会で決算の承認を得て、有価証券報告書を6月末までに提出しなければならない。決算がまとまらない東芝は、報告書の提出期限を8月末まで延長する申請を行って認められている。6月25日に開いた株主総会では、決算報告が行われず、取締役の選任などを行った。いずれも前代未聞の事態である。

 この問題を報じるに当たって主要メディアは東芝の「不適切」会計問題と表記している。オリンパスなど他の多くの会計不祥事では、「不正会計」あるいは「粉飾決算」と書いてきたが、東芝問題はなぜ「不適切会計」という言葉を使っているのであろうか。

 この問題が大手メディアの知るところとなったのは、4月上旬の会社側の発表だった。その段階から会社側が、会計上の不適切な処理があったと述べてきたことが一因かもしれない。

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