芥川賞講評

「いやあ、又吉くんうらやましい、と」山田詠美選考委員

 --又吉作品は芸能小説というか、表現とは何か、ということを考えるのに力を入れているのでは

 「はい。そんな意見も出まして、お笑い芸人と彼らがする漫才というのが、言葉を重要だととらえていて、しかもその言葉の重要さというのが小説を書くのとはちょっと違って、いかにも原始的な言葉の重要さを扱っている職業なんだなという発見をした、という意見もありました」

 --羽田さんの小説のバカバカしい感じというのは、又吉さんと対照的では

 「そうですね。どちらも青春小説という枠組みで語ることも可能ですけど、あまりにも切実であるがゆえに笑い飛ばさなくてはいけない種類のこと、というのでは共通していると思います」

 --又吉・羽田作品について、選考委員のひんしゅくを買うようなことはあったか

 「両方ともちょっと結末が…。羽田くんの方は、すごく分かりやすく頭のいい子になってしまっているのがちょっと残念だなと思いましたし、又吉くんに関しては、これは私の意見ですが、最後の方のエピソードは削っても十分に文学作品として成り立つので、ここはいらなかったとは思いました。ただ、他の選考委員の意見ももっともだと思ったので、これはこれでいいのかなとも思います」