芥川賞講評

「いやあ、又吉くんうらやましい、と」山田詠美選考委員

 --羽田作品と又吉作品、それぞれどんな点が評価されたか

 「羽田くんの方は、主人公のすごく愚かでバカみたいなところがすごく魅力的に書けているという不思議な感じ。それとこれは介護小説ではないけれど、介護という重大なテーマを持った家族のあり方というものを、うまく書けていたということです。読後感が良くて、天然ボケなのを観念で引っ張っていって、それを混ぜながら書いていくという、羽田くん独特の魅力にあふれた小説でした。新しい形のホームドラマを作り上げた、という意見もありました。おじいさんとの2人の関係で生まれてくるものを想像力でどんどん膨らませていく、その図式がとても魅力的だという意見もありました」

 「又吉くんの方は、どうしても書かざるを得ない切実なものが迫ってくる感じで、欠点も多々あるんですけど、何か強いものを感じて。それと、主人公とカリスマのような先輩との、まさに火花が散るような関係がよく書けていたということでした。1行1行にとてもコストがかかっている感じがした、という意見もありました」