関西の議論

上司を殴ってやりたい-と思ったら「6秒」待て 怒りとうまくつきあう「アンガーマネジメント」に注目集まる

 その4ステップ法とは、まずステップ1・事実を伝える▽ステップ2・未来への影響を伝える▽ステップ3・自分の感想を伝える▽ステップ4・相手の考えを尊重して自分で判断させる-という方法。

 具体的に、もし「子供がお弁当箱を出さなかった」場合、母親が衝動的に怒らないようにすることを考えてみると-。まず「お弁当箱を出さなかったね」と子供に事実を語りかけ、次に「お弁当箱を出さないとものすごく臭くなるよ」と影響を伝え、「お母さん、それは汚いと思うよ。洗うのも大変よ」と自分の考えを言い、最後に「あなたはどう思う?」と、子供に決めさせると良いという。

 嶋津さんは、家庭内でアンガーマネジメントを活用する意味について「他人の怒りに振り回されると、人は自信を失い、萎縮してしまう。子育ての場面で衝動的な怒りをなくせば、のびのびとした積極的な子供に育つ」と訴えている。

オンニコニコハラタテマイゾソワカ…“達人”僧侶にも教えを請う

 怒りを抑える達人といえば、僧侶の方々。教えを請うべく、古都・奈良の興福寺、多川俊映貫首(68)を訪ねた。

 多川貫首はまず、人間が根源的にもつとされる三毒として、むさぼりの「貪(とん)」、怒りの「瞋(じん)」、無知の「癡(ち)」があると説いた。怒りにあたる「瞋」は、気に入らないことを排除することを指すという。

 では怒らない、つまり「無瞋」の状態を作るにはどうしたらいいのか。多川貫首は明治時代の僧侶が言い出したというご真言(仏様に対する呪文)「オンニコニコハラタテマイゾソワカ」を教えてくれた。

 「もちろん本物のご真言ではありません。怒りっぽい人が唱える呪文として冗談で言ったのでしょう。でも、怒りの言葉の代わりに明るい言葉を表面に出すと、瞋を心の深いところに沈み込ませることができるかもしれません」。

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