関西の議論

上司を殴ってやりたい-と思ったら「6秒」待て 怒りとうまくつきあう「アンガーマネジメント」に注目集まる

トレーニングで“適切に怒る”という芸当も可能に

 「アンガーマネジメント」という考え方は、1970年代のアメリカで、いじめや暴力防止のための心理トレーニングとして始まった。人間関係がよくなるのはもちろん、仕事の生産性が上がるといった効果もあることから企業研修などで広まったという。

 日本では、アメリカの企業に勤務していたときにアンガーマネジメントを知り感銘を受けた安藤俊介さん(43)が、平成23年に「日本アンガーマネジメント協会」を設立し知られるようになった。

 現在、協会の代表理事を務める安藤さんは、「怒りの正体は、その人が抱く『こうあるべき』という感情」と説く。「そのべきの範囲は人それぞれで、範囲が狭ければ怒りっぽくもなる。トレーニングによってその範囲を広げたり、境界線をきちんと把握することで感情的な怒りをなくし、適切に怒ることも覚えていきます」と話す。

 同協会が主催する講座の受講生は、24年に約8500人だったのが25年は約1万5300人、26年は約5万300人と増えている。「価値観が多様化する現代社会で、お互いの『こうあるべき』もいろいろ。アンガーマネジメントはどう他人を受け入れ、また自分の思いを伝えていくかにもつながるスキルなので、今、必要とされているのでしょう」と分析する。

家庭でも有効

 アンガーマネジメントが必要なのは、職場だけでなく、家庭も同じ。「怒らない技術」や「7日間イラオコダイエット」などの著書がある、人材育成コンサルタントの嶋津良智さん(50)は、家庭での教育の場面に衝動的な怒りを持ち込まないよう訴える。著書やセミナーでは怒鳴り散らさず親の思いを子供に伝える方法などを具体的に示している。

 たとえば、嶋津さんの著書「7日間イラオコダイエット」では、「お伝え 4ステップ法」を紹介している。

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