新国立・安藤忠雄氏会見

(2)「ゼネコンの人たちも、もうからなくても『日本の国のために頑張る』と言ってほしい」「徹底的なコストの議論にはなっていない」

 --デザインを選んだ際、どのような価値、レガシーを残してほしいと思って選んだのか

 安藤氏「レガシーというより、とにかく日本がこの時期にこれを造ったんだというくらいの気持ちで選ぶのがいいんじゃないかと、私1人の意見じゃないがそう思った。もう1つは、かなり形態的に個性がありますが、今はコンピューターの時代なので、この時代しかできない建築があると思うんです。1964年の五輪の時代とは違って、コンピューターで徹底的に解析することによってできあがる美しい建築があるだろうと私は思っていた」

 「そこでこれを選ばせていただいたわけだが、あの時代にあの建物ができたということがいいのではないか、ということは、ほとんどの先生方の意見であって、実際には最後のほうには割れていたんですよね。その時に審査委員の中で外国のノーマン・フォスター、(リチャード・)ロジャースという方がいるんです。国際的に有名な方ですが、『その方は審査していないんじゃないか』という意見があるが、実際にはみんなで1日かけて、ノーマン・フォスターさんと、それからロジャースさんと徹底的に打ち合わせして意見を聞いていますし、最終日にもちゃんと電話でやりとりをして、『こういう流れだけれどもどうなんだ』という話もしていますから。メディアの中には聞いていないんじゃないかというのがあったが、そうではなく、彼らもそれに賛同していました」

=(3)に続く

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